フランスの香水文化・香水の歴史とは?メゾンフレグランスブランドの名香9選
中でもフランスは香水の本場として、数々の名香が誕生しました。
では、なぜフランスが香水の本場となったのでしょうか?
今回はフランスが香水の本場となった歴史を紐解き、どんな名香が生まれてきたのかをメゾンフレグランスブランドごとに紹介していこうと思います。
フランス・グラースが香水の歴史の中心地
フランスの南東部に位置するグラースは、温暖な気候に恵まれた、自然豊かな地域です。
カンヌからも車で約40分ほどの距離にある地方で、都市部からもさほど遠くないため、現在でも一大観光地として人気のある場所となっています。
グラースには元々、ラベンダーやローズマリーなどのハーブや、ジャスミン、オレンジブロッサムなどの豊満な香りをもつお花、丸々とした実をつけるオレンジなどのフルーツなどが自生していました。
グラースの革産業が香水の流行へと変化した
当時の革製品は、今と比べると動物的な匂いがキツく、その匂いを消すために、ハーブやお花を使って香りづけをしていたと言われています。
これが、フランスでの香水の流行の先駆けとなりました。
革製品の香りづけとして使われていた香水は、その後初めて画期的な合成香料を使用して創られた香水によって歴史に革命を起こし、香水の一大産業地としてさまざまなメゾンフレグランスブランドが誕生しました。
今でもグラースの街を散歩すると、香水の工房や、自生したジャスミンやラベンダーなどによって、うっとりするような香りに包まれると言います。
フランスの香水ブランド紹介・フランスの香水9選
ここからは、フランスを代表するメゾンフレグランスと、そのブランドを代表する香りを一つずつ紹介。
全て「カラリア 香りの定期便」でもオーダーできる香水なので、香水選びの参考情報としてもご活用ください。
PETITE CHERIE(プチシェリー)/ANNICK GOUTAL(アニックグタール)(GOUTAL グタール)
〔ノート〕ピーチ、バニラ、ペア、ムスクローズ、フレッシュグラス
ピアニスト、ファッションモデルなどの芸術家を経て、グラースの地に腰を落ち着かせたグタール氏は、1981年に「オーダドリアン」を誕生。
グタールの香水は香りにストーリー性を含ませており、トップノートからラストノートに至るまで、脳内でひとつの映画を見ているような錯覚さえ感じさせます。
グタールを代表する香り「プチシェリー」は、彼女の愛娘、カミーユに捧げた香水です。
美しい庭園に咲き誇るローズと、たわわに実ったピーチやペアが、みずみずしく、まだ幼い娘の鼻をくすぐります。
プリシェリー<小さな愛しい人>に捧ぐ、可憐で、若々しさに溢れたフルーティーフローラルフレグランスです。
Miss Dior(ミス ディオール)/Christian Dior (クリスチャン・ディオール)
〔ノート〕ブラッドオレンジ、マンダリン、スズラン、グラースローズ、インドネシア産パチョリ
翌年には、当時批判も強かった膝下丈のスカートを発表。ニュールックとして大々的に取り上げられ、同年に「ミスディオール」も誕生しています。
ディオールの考える香水というものは、全身をディオールのファッションに身を包み、最後の仕上げとして香水を振りかけるというもの。
香水も服と同じようにトータルコーディネートの一環として扱うのがディオールの信念です。
ミスディオールは、時代とともに変化し、いろいろな香りで楽しませてくれました。
現在のミスディオールを手掛けたのは、エルメスの専属調香師であるクリスティーヌ・ナジェル氏(代表作はツイリーシリーズなど)です。
まず最初にブラッドオレンジとマンダリンの甘く、やや酸味の効いたみずみずしいフルーティノートからはじまります。それらは次第にパウダリーなローズへとドライダウンしていき、ラストにはパチョリが香りを引き締めます。
ミスディオールは、モデルを務めているナタリー・ポートマンのように、若々しさ溢れるフレッシュな香りです。
ターゲットは20〜30代と言われていますが、この香りは歳を重ねても心の隅でどこか求めてしまうような魔性をも秘めています。
Philosykos(フィロシコス)/DIPTYQUE (ディプティック)
〔ノート〕イチジクの葉、イチジクの樹木、イチジクの樹液
ドアがひとつに、両側がショーウィンドウとなったこの店舗の外観は、まるで2枚折りの絵屏風のように映り、これをフランス語で「ディプティック」と名づけられました。
ディプティックの歴史を変えたのは、間違いなくオリヴィア・ジャコベッティという調香師の存在です。
世界で初めてイチジクの香りを合成香料を使用して製作したラルチザンパフュームの「プルミエ フィグエ」を誕生させた調香師で、1996年にはディプティックで同じくイチジクの香りを再現した「フィロシコス」を生み出しました。
フィロシコスは、ギリシャのぺリオン山で過ごした夏の思い出をテーマにした香りです。
旅の途中で出会った野生のイチジクの果樹園からインスピレーションを受け、青々しいイチジクの葉から、少しずつミルキーなイチジクの果肉へと移り変わり、そして最後にはイチジクの木を思わせるウッディノートで締めくくる香調となっています。
2003年には「タムダオ」、2005年には「ドソン」など、調香師を変えて数々の名香を創り出したディプティックは、今やメゾンフレグランス界において欠かせない存在となりました。
PORTRAIT OF A LADY(ポートレイト オブ ア レディー)/FREDERIC MALLE (フレデリック・マル)
〔トップノート〕ローズ
〔ミドルノート〕ブラックカラント、ラズベリー、クローブ
〔ラストノート〕パチョリ、サンダルウッド、フランキンセンス
フレデリック・マルといえば、1本のボトルに400本ものトルコ産ローズを濃縮した「ポートレイトオブ ア レディー」が思い浮かびます。
一般的にローズフレグランスというのは、ローズの香料をほんのわずかしか使用しないものが多い中、400本ものローズを大胆にも贅沢に使用したのはもはや狂気の域ではないでしょうか。
ここに辿り着くまでには何百回もの試作が生み出されたそうです。
開幕、およそ窒息してしまいそうなほど濃密なローズに、墨のようなパチョリが重々しく香りを包み込み、一瞬にして貴族のパーティのような光景が目蓋の裏に広がります。
その直後、クローブがボッと音を立てて燃えたローズのように暖かさを加え、ほのかな甘さとともに肌へと馴染んでいきます。ラストにはもう一度パチョリが強く押し出て、一筋縄ではいかないような危険さをはらんで締めくくるのです。
MITSOUKO(ミツコ)/Guerlain(ゲラン)
〔ノート〕ジャスミン、ベルガモット、メイローズ、ピーチ、ベチパー、ウッディ
1853年にはフランス皇后のためにコロンを製作し、その後はヨーロッパの王国御用達となったのです。このことから、「香水界の帝王」とも呼ばれています。
ゲランが革命を起こしたのは、1862年に発表された「ジッキー」でした。天然香料と合成香料を掛け合わせて創られたアニマリックでマスキュリンな香水です。これが現代のフレグランスの形となり、4代目のジャン=ポール・ゲラン氏まで家族経営で香水を創り続けました。
ゲランには数えきれないほど多くの香りが存在しますが、中でも一番多くの香りを遺したのが、三代目調香師にあたるジャック・ゲラン氏です。「ミツコ」も彼によって製作されました。
20世紀初頭のベストセラー小説「ラ・バタイユ」に登場する日本人の女性、ミツコがテーマとなっており、濃密なシプレ(ほの甘いパウダリーにオークモスを掛け合わせた香り)に、みずみずしいピーチを合わせた、フルーティシプレです。シプレにフルーツを合わせるというのは、1919年当時、かなり大胆な調香だったそう。
今なお多くのファンに愛されるミツコ。日本人であるならばぜひ一度は肌の上で試してみてほしい香水です。
Un Jardin sur le Nil(ナイルの庭)/HERMÈS (エルメス)
〔ノート〕グリーンマンゴー、ロータス、シカモアウッド
エルメスが香水業をスタートさせたのは、107年後の1944年のこと。エルメスのバッグの内側の香りを再現した「オードゥエルメス」です。
1961年にはエルメス初の女性向けフレグランスである「カレーシュ」も発表。2000年代に突入すると、ジャン=クロード・エレナ氏によって製作された「ガーデンシリーズ」も登場し、軽やかで品のあるエルメスフレグランスがここに定着しました。
「ナイルの庭」もガーデンシリーズのひとつです。
アスワンからナイル川流域の川面に浮かぶ島からインスピレーションを受けた香りで、やや青みのあるグリーンマンゴー、軽やかなロータス、フレッシュなシカモアウッドが、自然の豊かさときらきらとした輝きのある庭のようにとびきり爽やかに香り立ちます。
Moonlight in Heaven(ムーンライト イン ヘブン)/KILIAN(キリアン)
〔トップノート〕グレープフルーツ、ピンクペッパー、レモン
〔ミドルノート〕マンゴー、ココナッツ、ライス
〔ラストノート〕ベチパー、トンカビーン
芸術性を愛するキリアン氏は、ボトルデザインにもこだわりを見せ、繊細でストーリー性に富んだガラス、そしてそのパッケージから想像される香りには、多くのアーティストの心が鷲掴みにされています。
キリアンといえば「グッドガールゴーンバッド」が有名ですが、「ムーンライト イン ヘブン」もニッチなファンから愛される名香です。
それは、ハネムーンのような、ロマンティックな逃避行。
月夜に照らされたようなグレープフルーツとレモンにピンクペッパーで軽やかにアクセントを加えたトップ、ここからじわじわとよく熟れたマンゴーのまったりとした甘さが広がり、まるで禁断の扉を開けてしまったように魅了されてしまうのです。
ラストにはココナッツやバニラの甘さが前面へと押し出し、もう二度と帰ってこられない、一度体感してしまったら虜になってしまうような神秘性も秘めている香りをそっと肌に残します。
Mûre et Musc(ミュール エ ムスク)/L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム)
〔ノート〕ホワイトムスク、ブラックベリー
化学者であるジャン・ラポルト氏は、何よりも自然の香りを好み、厳選された極上の天然香料を用いて独創的な香りづくりの研究を重ねていきました。
その後、1978年に誕生した「アンバーエクストリーム」が世界的に大ヒット。香水の愛好家の間で”香りの職人”と呼ばれるようになったと言われています。
同年誕生した、フランス語で<ブラックベリーとムスク>という意味をもつ「ミュール エ ムスク」は、当時まだ誰もなしえなかったベリーとムスクのブレンドに挑戦し、1970年代の香水界に大きな衝撃を与えました。
つけたてはみずみずしく、甘酸っぱいベリー!そしてここからじわじわと柔らかなムスクと溶け合い、透明感のあるフルーティムスクへと変化していきます。
まるで心地よく暖かな日にベリーをたくさん摘み取っているような光景が浮かぶような、フレッシュで優しい香調です。
L'Eau Serge Lutens(ローセルジュルタンス)/SERGE LUTENS(セルジュ ルタンス)
〔ノート〕マグノリア、セージ
芸術を深く愛する彼が創り出す香りは、エキゾチックで重厚感あふれるオリエンタル系を得意とし、上質な香料を贅沢に使用した、格調高くエレガントなフレグランスが揃っています。
2009年に登場した「ローセルジュルタンス」は、昨今のオーバードーズ気味の香水に対するアンチテーゼとして、世に蔓延る香水と一線を引いた作品となりました。
フランス語で<セルジュ・ルタンスの水>を意味するこの香水は、マグノリアやセージなどの優しい香りに包まれたオゾンノート。洗濯したてのシャツやリネンを想像させるような、透明感に溢れた水の香りです。
オリエンタル調をメインとするセルジュ・ルタンスの香りに、そっと寄り添うような形で存在し、疲れた心や体をも包み込んでくれるような香りとなりました。
普段から香水をつけ、香りまでコーディネートを楽しんでほしい
日本では香水の文化がまだまだ浅く、日常的に楽しむ人は増えてきているものの、フランスと比べると少ないです。
カラリア編集部としては、普段から香水をつけ、香りまでコーディネートを楽しんでみてほしいと願っています。
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