香りの文化は紀元前から!香水の歴史を遡るタイムスリップへ。
当時はまだ香りを楽しむというよりは、宗教の儀式に使用するなど、とても神聖なものとして扱っていたようです。
ここから今のような香水に辿り着くまでは、一体どんな歴史を歩んできたのでしょうか?
今回は紀元前から近代まで、香りのルーツから香水の文化・歴史をお届けします。
乳香と没薬がミイラづくりの重要な材料へ
当時のエジプトでは、死者が死後、蘇ることを信じ、魂が体へ戻ってきたときのことを考えてミイラをつくりました。
このミイラづくりの技術に欠かせなかったのが、乳香(フランキンセンス)や没薬(ミルラ)、桂皮(シナモン)などの樹脂や樹皮。
これらの香り高いものを油に漬け込み、布に浸透させて遺体に詰め物をしたり、巻き付けたりという方法をとることで、遺体の腐食を防ぎ、現在のミイラと言われる姿になったそうです。
古代では、乳香と没薬は、神秘的で高貴なものとして扱われていました。
聖書にも、ソロモン王に捧げられたり、イエス・キリストの誕生にもこのふたつが贈られたという逸話が残されています。
古代エジプト・ローマ時代には「香油」がブームに
エジプトの女王であり、現在でも美の象徴としても称されるクレオパトラは、その美貌や若さを保つために、香料をふんだんに使用したそうです。
クレオパトラは主にバラの香りを気に入り、バラの花で埋め尽くしたり、バラを油に漬け込んだ香油を体に塗り、香水のようにして香りを楽しみ、さらに男性をも魅了したと言われています。
さらに香油は、古代ローマ時代でも楽しまれていました。
かの皇帝ネロもバラの香りに惚れ込み、香油を体中に塗ったり、部屋をバラの香りで満たすことをしていたそう。
また、一般市民がこぞって通った公衆浴場でも香油を体に塗ることは親しまれていました。まるで現在のように香りを楽しんでいたようです。
バラの香りの香水について特集した記事はこちら▼
中世ヨーロッパではローズマリーをアルコールに漬けた「ハンガリーの水」が流行
14世紀には、ハンガリー王妃エリザベートがリウマチで苦しんでいたところに、ローズマリーを漬け込んだアルコールでつくられた痛み止めを献上したところ、たちまち状態が回復したという記録も残されています。さらに、複数の王子から求婚もされてしまうというから驚きです。
このことからハンガリー王妃の水(ハンガリアンウォーター)は若返りの水とも呼ばれ、現在でも民間療法として言い伝えられています。
17世紀には世界初となる香水「ケルンの水」が誕生
ケルンの水は、ベルガモットを基調に、ローズマリーやラベンダーなどのハーブを高濃度のアルコールに漬け込んで調合した香水です。
これを「オーアドミラブル」(素晴らしい水)と呼び、後に「オーデコロン」の名前の由来ともなったと言われています。
ケルンの水は香水としてだけではなく、当時は胃薬などの薬としての役割もあったそうです。
このケルンの水を再現した香りとして現在も愛されているのが、「4711」です。
〔トップノート〕シトラス
〔ミドルノート〕ラベンダー、ローズマリー
〔ラストノート〕ネロリ
スプレーした瞬間からスカッとしたベルガモットやレモンの弾けるようなシトラスがガツンと響き、だんだんと柔らかなフゼア調へと変化していきます。男性のトニックのようなマスキュリンな香りが最後まで軽やかに肌の上で踊り続けるのです。
革製品の流通とともに香水が流行へ
しかし、当時の革製品は匂いがキツく、その匂いを消すために香りの強いジャスミンやローズ、ネロリなどのお花を使用した天然香水が使われていました。
イタリアの公妃マリー・アンヌも、革手袋をビターオレンジの花で香りづけ、その香りを楽しんでいたそうです。
このエピソードにちなみ、ビターオレンジのお花のことをネロリと名付けたといいます。
革製品の流通と同時に香水も流行し、フランスのグラース地方では温暖な気候を利用してジャスミンやネロリなどのお花や、ベルガモットなどの柑橘類、さまざまなハーブの栽培を開始します。
後にシャネルやクリスチャンディオールなどのブランドも誕生し、香水の本場と言われるようになりました。
天然香料と合成香料をブレンドした初めての香水「ジッキー」
〔トップノート〕ローズマリー、マンダリンオレンジ、ベルガモット、レモン、マンダリンオレンジ
〔ミドルノート〕ラベンダー、トンカビーン、オリスルート、バジル、ジャスミン
〔ラストノート〕バニラ、レザー、スパイス、ベンゾイン、サンダルウッド、アンバー、ブラジリアンローズウッド
当時の香水事情は天然香料のみを使用したものがポピュラーだった中、エメ・ゲラン氏はクマリンと呼ばれるトンカビーンから採取される合成香料に、リナロール(ベルガモットに含まれる成分)とバニリン(バニラ)、この3種類の合成香料を天然香料と組み合わせました。
ベースはあくまでラベンダーとバニラですが、ドライダウンしていく中でふわふわと漂うアニマリックなシベット(現在では合成ムスク)がやや男性的に香ります。
当初、この香りは全ての男性に受け入れられないと考え、女性用として販売したそう。
ところが、意外にも女性より男性の購入者が多く、女性はあまり好まなかったと言われているのですが、ココ・シャネル氏がパンツスーツを製作し、女性のパンツスタイルが流行してきた頃、じわじわとジッキーも女性に受け入れられてきたと言われています。
ジッキーは現在でもゲランで販売されており、とても息の長い香水となりました。
ゲランの人気香水についてまとめた記事はこちら▼
1920年代にはシャネルによって更なる香水革命を起こす
2021年に100周年を迎えた「N°5」です。
香りの構成が公式に発表されていないアイテムです。
単品では脂臭が目立つアルデヒドを、イランイランやアイリスなどのフローラルと合わせることで、ふくよかで気品溢れるパウダリーな香りへと昇華させたのです。
これは天然香料×合成香料が流行り出した当時の香水業界に大きな影響を与えました。
N°5の登場により合成香料を使用した香水が少しずつ増えていき、現代の香水産業へと繋がります。
香水のトレンドは時代の変化に伴ってアップデートしていく
それまでの間にヨーロッパから全世界へと香水の文化は広がり、現在では世界各国で数えきれないほど多くの愛好家が増え、香水を楽しむことが日常へと変化しています。
最近の香水のトレンドは、意外にも原点に戻ったように、天然香料を贅沢にたっぷり使用したもののようです。
これは安価でありきたりな合成香料を使用した香水を嗅ぎすぎた現代人だからこそ行き着いた境地なのか、最近ではまた天然香料をこよなく愛す調香師も少なくありません。
また、香水界にもジェンダーレスの波が押し寄せ、香水に性別をつけるのをやめているブランドも増えてきました。
代表的なものではイソップやディプティック、トムフォードなど。
これらのブランドでは香水に性別を設けていません。
調香師でも「香水に性別はいらない」とコメントしている方もおり、時代の変化を感じさせます。
時代の変化に伴って変化していく香水文化。
次の時代にはどんな香水が登場するのかとても楽しみですね。
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