イギリスの香水文化はエリザベス女王とともにあり。イギリスを代表する10種類の香水をブランドごとに紹介
現エリザベス女王も、香りの好みまでは詳しく明かさないものの、ハンドクリームやボディジェルなど、身の回りのアイテムを好きな香りのもので揃えられています。
中でもエリザベス女王が愛用されているというのがこちらの香水です。
〔トップノート〕カーネーション、グリーン、アルデハイディック
〔ミドルノート〕アイリス、ローズ、ジャスミン、バイオレット
〔ラストノート〕アンバー、ムスク、パウダリーノート
故ヴィクトリア女王も愛したと言われるこの香りは、ほの甘く優しいホワイトローズに、カーネーション、アイリス、ジャスミン、バイオレットなどの白いお花をブレンドした、とても上品な香りの香水となっています。
思わずうっとりしてしまうほど優美な香りに惚れ込んだヴィクトリア女王は、ヨーロッパ中の王室にこの香りを贈ったそうですよ。
イギリスの香水文化はエリザベス女王とともにはじまった
イタリアで流行していた香水風呂がイギリスへと伝わります。
当時のエリザベス女王はその香水の魅力に取り憑かれ、より良い香りを求めるべく莫大なお金を使用したそう。
エリザベス女王が求めたのは「甘くて繊細な香り」。
これに、女王の調香師は、バイオレットとナデシコをブレンドしたものを勧めましたが、数ある香りの中でも女王が元も愛したのが、ローズとムスクの香水だったそうです。
それらの香水は自身の体だけではなく、ハンカチや手袋など、身の回りのものへもつけ、楽しんでいたと言われています。
このことから、エリザベス女王は「薔薇の女王」とも親しみを込めて呼ばれていました。
この時代から歴代女王も香水を好み、エリザベス2世女王はゲランの「ルール ブルー」を愛用していたという記録が残されています。
余談ですが、最近の英国王室では、メーガン妃も香水のファンであり、ジョーマローンロンドンの「ワイルドブルーベル」を愛用されていたり、キャサリン妃の結婚式では同じくジョーマローンロンドンの「オレンジ ブロッサム」「グレープフルーツ」「ライム バジル&マンダリン」のキャンドルで香りを満たしたというニュースも話題となりましたね。
イギリスの香水ブランドってどんなのがある?
例えばペンハリガンやクリードなども英国王室御用達のブランドです。
どちらも聞き馴染みがあるのではないでしょうか?
ここからは、イギリスのフレグランスブランドと、ブランドを代表する香水を10種類ご紹介します。
「カラリア 香りの定期便」で香水を選ぶときの参考にもしてみてくださいね!
①ORANGE BLOSSOM(オレンジ ブロッサム)/PENHALIGON'S(ペンハリガン)
〔ノート〕ベルガモット、ローズ、ピーチフラワー、ネロリ、カラブリアンオレンジ、バージニアシダー
創設した2年後には初となる香水「ハマンブーケ」を製作。これは会社を創設する以前、ペンハリガン氏がイギリスで流行していたトルコ式の大衆浴場「ハマム」で理髪師をしていたことから、その名がつけられたと言います。
ペンハリガン氏がロンドンに出たあとは、宮廷理容師及び調香師としてヴィクトリア女王に仕え、1903年にはアレクサンドラ王妃から初となるロイヤル・ワラント(王国御用達)を受けます。
ペンハリガンは第一次世界大戦でのロンドン大空襲により、一時は壊滅状態に陥ったものの、1975年には「リリーオブザバレー」といった名香を生み出し、再び世間から注目を受け始めました。
その翌年には、オレンジの花をテーマとした「オレンジブロッサム」も登場。
現在発売しているものは、2010年にベルトラン・ドゥショフール氏によって調香されたものです。
つけたてはとてもみずみずしいカラブリアンオレンジとベルガモットの弾けるようなシトラス!
それらは次第にビターオレンジの木に花をつけるネロリへと変化していきます。そしてその周りにはピーチフラワーやローズなどのふくよかなフローラルがふわふわと繊細に存在するのです。
まるで、とてもよく晴れた日、オレンジ畑を散歩している風景が目に浮かぶような、フレッシュで若々しい香りとなりました。
②English Pear & Freesia Cologne(イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン)/JO MALONE LONDON(ジョー マローン ロンドン)
〔トップノート〕キングウィリアムペアー
〔ミドルノート〕フリージア
〔ラストノート〕パチョリ
ジョーマローン氏は、亡き母の跡を継ぎ、フェイシャリストとなります。
フェイシャリストとして活動していくうちに「香り」に興味をもち、あるご贔屓さん5名限定でナツメグとジンジャーの相反する香りをブレンドした新しいバスオイルをプレゼント。
これが大反響を呼び、1994年、ロンドンにてジョーマローンをオープンしました。
「イングリッシュペアー&フリージア」は、日本のジョーマローンで1番の人気を誇る香水です。
2010年に、エルメスの調香師であるクリスティーヌ・ナジェル氏(代表作はツイリーなど)によって生み出されました。
まだみずみずしく熟しきったペアーのトップ、華やかなフリージア香るミドル、ほのかに温かみを加えるウッディ調パチョリのラスト。
この3拍子がテンポよく香り立ち、軽やかで若々しい印象を与えてくれます。
「カラリア 香りの定期便」でも常に上位にランクインしているほど人気の香りです。
③Tea Tonique(ティー トニック)/Miller Harris(ミラーハリス)
〔トップノート〕イタリアンベルガモット、プチグレン、レモン
〔ミドルノート〕スモーキーティー、ナツメグ
〔ラストノート〕マテアブソリュート、ムスク、バーチタール
新旧が入り混じる”モダンブリティッシュ”の世界観を守り、厳選された植物由来の成分のみを使用しているのがミラーハリスの魅力であり、天然香料を使用した香水は、つける人の肌の上をキャンバスに見立て、その上をスルスルと描く絵画のように肌へ馴染みます。
ミラーハリスを代表する香り「ティートニック」は【魅力的で、少しだけ気まぐれなフレグランス】をテーマにしたティーフレグランスです。
つけたてからアールグレイ紅茶のようにふくよかなベルガモットがしっかりと香り立ち、次第にややスモーキーな紅茶葉がふわふわと登り、紅茶専門店でいただくような、特別なブレンド紅茶のように香るのです。
④Orange & Bergamot Eau de Parfum(オレンジ&ベルガモット オードパルファン)/MOLTON BROWN(モルトンブラウン)
〔トップノート〕ビターオレンジ、スイートオレンジ、ベルガモット、ガルバナム
〔ミドルノート〕ネロリ、ローズペダル、イランイラン、クローブ
〔ラストノート〕ムスク、サンダルウッド、ベチバー、ペルーバルサム
ハーブの処方と植物の香りを専門とするヘアサロンからスタートしたモルトンブラウンは、次第にその質の良い香りが話題となり、「バブリング オレンジ グローブ」ハンドウォッシュが大ヒット!
現在では「オレンジ&ベルガモット」の名称で多くのファンに愛されるベストセラーとなりました。
オレンジツリーが取り囲むセビリアの街からインスパイアされた香りで、つけたてからみずみずしく剥きたてのようなオレンジの香りが濃密に香り立ちます。やがて、ネロリを中心とした柔らかなフローラルと調和し、ラストにはオレンジツリーの枝のようにナチュラルで温かみのあるウッディノートへと変化していくのです。
モルトンブラウンは2012年にエリザベス女王からロイヤル・ワラントを授かり、世界70カ国以上のホテルでアメニティとしても採用されています。
旅行雑誌「コンデナストトラベラー」では、”ホテルのバスルームにモルトンブラウンがあったなら、そのホテルを選んだことは正解だった証拠である”とも称されているほど!
⑤Weekend(ウィークエンド)/Burberry(バーバリー)
〔トップノート〕タンジェリン、樹液、モクセイソウ
〔ミドルノート〕ワイルドローズ、ピーチブロッサム、アイリス、ヒヤシンス、ネクタリン
〔ラストノート〕シダーウッド、サンダルウッド
ブランドが創設された当初は耐久性や防水性に優れたコートや、戦時中にはトレンチコートを製造し、機能性に富んだウェアを発売していました。
1924年には、コートの裏地に使用していたデザインをバーバリーチェックとして売り出し始め、一大ブームを巻き起こします。
1970年以降になると、機能性はもちろん、カジュアル面も重視したデザインを多く発表し、次第に香水産業にも参入していくようになりました。
バーバリーフレグランスといえば「マイバーバリー」が代表的ですが、意外にも日本で人気が高いのが「ウィークエンド」です。
この香水は、タンジェリンに樹液とモクセイソウをブレンドしたシトラスグリーンノートからはじまります。
澄み切った朝のように透き通るようなみずみずしさを感じながら呼吸していくと、次第にローズやピーチブロッサムなどのまったりとした甘さのあるフローラルがふわふわと辺りを漂い、ラストにはウッディノートで温かみを加えて締めくくります。
⑥ICON RACING(アイコン レーシング)/dunhill(ダンヒル)
香りの構成が公式に発表されていないアイテムです。
1893年にはファッション産業に参入。自動車の普及を予想して車用品まで幅広く売り出します。1950年代半ばには、シルバーのパッケージを施したダンヒルライターも登場。映画007のジェームズ・ボンドの愛用品として一時トレンドとなりました。
ダンヒルでは主に紳士向けのアイテムを取り揃えており、2017年にはイギリスのモータリング歴史から着想を得た香水「アイコンレーシング」も誕生してます。
公式では香りの構成は発表されていませんが、スプレーしてみるとグレープフルーツやベルガモットにカルダモンがアクセントを加えたマスキュリンな香りがたちまち広がり、それらは段々とフゼア調へと変化していきます。
イギリスらしい正真正銘なジェントルマンが纏うことで完成するメンズ向けフレグランスです。
⑦BOUQUET DE LA REINE(ブーケ ドゥ・ラ・レーヌ)/FLORIS(フローリス)
〔ノート〕ローズ、ピーチ、カシス
伝統的な香水の調合と、上質な香料によって生み出されるフローリスの香水は、たちまちイギリス国内で評判となり、その後何代にも及び同族経営によって調合のレシピが引き継がれています。
1820年にはジョージ4世によってロイヤル・ワラントが授与され、歴代の女王もその香りを愛したと言います。
「ブーケ ドゥ・ラ・レーヌ」は、エリザベス女王即位50周年を記念して制作された香水です。
つけたてからホワイトローズ、リリーオブザバレー、ジャスミン、チュベローズ、イランイランなどの白いお花たちが次々に顔を見せます。
まるで女王の即位を記念し、訪れる客人が贈る花束のよう!
華々しいフローラルはやがて柔らかなバニラによって包み込まれ、その温もりをそっと肌に残します。
⑧Rose(ローズ)/Paul Smith(ポール・スミス)
〔ノート〕ローズ、シダーウッド、ムスク
当初はケンゾーやマーガレット・ハウエルなどのブランドを取り扱っていましたが、1970年代の半ばあたりになるともっと捻りのあるクラシカルを目指し、自身でデザインを開始、1976年ではパリのコレクションに発表するとたちまち話題となり、その名を世間に知らしめました。
その後も主にメンズ向けのラインを中心に発表し、香水産業にも加入。2007年に誕生した「ローズ」は、アントワーヌ・メゾンデュー氏によって調香されたバラの香水です。
つけたてから濃密なローズにグリーンティーがみずみずしいアクセントを加え、ミドルからはマグノリアやムスクがソーピーに香り立ち、清らかな雰囲気をもって締めくくります。
⑨AVENTUS(アバントゥス)/CREED(クリード)
〔トップノート〕パイナップル、ベルガモット、ブラックカラント、アップル
〔ミドルノート〕バーチ、パチュリ、モロッカンジャスミン、ローズ
〔ラストノート〕ムスク、オークモス、アンバーグリス、バニラ
その類まれなる香りは英国王室も認め、19世紀半ばにはロイヤル・ワラントも授与されています。
クリードに革命を及ぼしたのは、1985年に誕生した「グリーンアイリッシュツイード」です。オリヴィエ・クリード氏によって調合されたこの香水は、古典的なフゼアを意識した男性的な香りで、現在でも多くのファンを魅了しています。
その後、2010年に登場した「アヴァントゥス」は、クリードの当初の信念であった親子共同開発によって制作されました。発売後から生き生きとした男性的な香りが話題を呼び、現在ではクリードのメンズフレグランスで1番人気の香りです。
ナポレオン皇帝が生きた時代をテーマとしており、戦争・平和・ロマンスの強さにアプローチをかけています。
つけたてはパイナップルをはじめとしたフルーツが生き生きと弾け、それらは次第に豊満なジャスミンに包まれ、ほんの少し柔らかさを帯びていきます。
途中でバーチとパチュリと出会い、ウッディ調へと変化。ラストにはこの香水の真髄であるムスクと、やや野生的なアンバーグリスがマスキュリンな雰囲気をもって香りを締めくくるのです。
⑩1872/Clive Christian(クライブ・クリスチャン)
〔トップノート〕プチグレン、ライム、グレープフルーツ、ピーチ、ベルガモット、ラベンダー、ローズマリー、パイナップル、ガルバナム、ペッパー、ナツメグ、マンダリンオレンジ
〔ミドルノート〕クラリセージ、マリーゴールド、フリージア、シクラメン、ジャスミン
〔ラストノート〕バージニアシダー、ムスク、フランス産ラブダナム、アンバー、オリバナム、パチョリ
クライブ・クリスチャンといえば王冠が印象的です。イギリスらしいボトルデザインはヴィクトリア女王もお気に召され、王冠の使用を認めたと言われています。
2012年にはダイヤモンドジュビリー(イギリスの競馬)のために、エリザベス女王へ特別なボトルを贈与しました。
そんなクライブ・クリスチャンの顔ともいえるのが、創立年がネーミングの由来となった「1872」です。
イギリスの古典的な香水と伝統を意識した香りで、ウィメンズとメンズ、ふたつの種類があります。今回紹介するのはメンズ用の香水です。
つけたてはとびきり爽やかなシトラス!そのまま香りをゆっくり吸い込んでいくと、喉の奥の方でラベンダーとガルバナムがフゼアのアコードを奏で、やがてジャスミンをはじめとしたフローラルと出会います。ロマンチックな展開はシダーやムスクに優しく包み込まれ、男性的な包容力を感じさせる香水となりました。
イギリスの香水は伝統・文化を大切に守り受け継いでいく
カラリアマガジンではイギリスのほかに、フランスの香水文化についても紹介しています。
香水の文化は国によってさまざまです。ぜひ、比べながら香水を選ぶときの参考情報として活用してくださいね。
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