小悪魔な印象を与えるカシス(ブラックカラント)の香り
英語ではブラックカラント(Blackcurrant)とも呼ばれるのですが、香水ではこちらの名前の方が広く使われることが多いのではないでしょうか?
主にポーランドで栽培される温帯性の果実で、実は黒く小さい丸型をしているのが特徴的。ブルーベリーと似ていますが全く違う果実です。
カシスはほのかな苦味をもつため、食用としてはジャムやソースなどにされ、デザートとして食べられるのが一般的です。また、リキュールにも多く、カクテルとしても楽しまれています。
香りとしてのカシスは、葉や茎から採取されたものを使用します。
じつは、果実より葉や茎の方が香りが強く、カシスを煮詰めたような香りがするのがポイントです。
香水にはアクセントして加えられることも多いよう。また、カシスの精油は芽から採取され、ほのかなフルーティーさにミントのようなフレッシュ感が爽やかな香りとなっています。
カシスの香りの香水10選
そのかわいらしさの合間から見え隠れするセクシーさが魅力とも言えます。
カシスが使われるのは主にレディースフレグランスですが、最近ではその垣根も少しずつ下がり、ユニセックスフレグランスにも使われるようになりました。また、フローラル系、特にローズとの相性も非常に良いため、ローズの香水にカシスがアクセントとして加えられたものもたくさん登場しています。
①E1997 RAIN SOUND(E1997 レイン サウンド)/THOUSAND COLOURS(サウザンドカラーズ)
〔トップノート〕ブラックベリー、ブラックカラント、グレープフルーツ、レモン
〔ミドルノート〕ローズ、ローレル、ジャスミン
〔ラストノート〕ムスク、シダーウッド、ベチバー、モス
立ち上がりはハッとするようにジューシーなカシスの香り。遠くではグレープフルーツとレモンが酸味のアクセントを加え、カシスの甘さを抑えます。ミドルからはローレルのグリーンが顔を見せ、カシスと融合しながらドライダウン。ラストには深い森で降り注ぐ恵みの雨のような香りがふわっと香り立ち、そのまま肌へと溶け込みます。
香料を見ると、ジョーマローン ロンドンの「ブラックベリー&ベイ」に似ているのですが、こちらの方がロングテイスティングで、ラストに印象がガラッと変わるので、ブラックベリー&ベイがお好きな方は比べてみてくださいね。
②SCENT OF PEACE(セント・オブ・ピース オードパルファム)/Bond no.9 NewYork(ボンド・ナンバーナイン)
〔トップノート〕ブラックカラント
〔ミドルノート〕リリーオブザバレー
〔ラストノート〕ムスク
トップは、弾けるようにみずみずしいブラックカラントのフルーティー。ミドルからはリリーオブザバレー(スズラン)の柔らかくソーピィーなフローラルがラストのムスクへと続いていきます。
③ROSE POMPON(ローズ ポンポン)/ANNICK GOUTAL(GOUTAL)/(アニックグタール(グタール))
〔ノート〕ブラックカラント、ラズベリー、ピンクペッパー、ブルガリアンローズ、ピオニー、シダー、ホワイトムスク、パチョリ、タイフローズ
スプレーした瞬間にふわっと香るカシスとラズベリーが、暖かな日差しを感じさせます。そこからじわじわと漂うセンティフォリアローズ(=ローズポンポン)が、バラの紅茶のようにうっとりと香り出すのです。
グタールならではの親しみやすい香りで、ローズフレグランスを使うのが初めてという方でも手に取りやすいフレグランスかと思います。
④TENUE DE SOIREE(トゥニュ ドゥ ソワレ)/ANNICK GOUTAL(GOUTAL)/(アニックグタール(グタール))
〔ノート〕レッドフルーツ、アイリス、パチョリ
カシスのようなレッドフルーツのフレッシュな立ち上がりから、じわじわと香り出すパウダリーなアイリスが、パーティの始まりを感じさせます。まるでこれから遊びに行くひとりの女性が、豪華なドレッサーの前でお粉をはたいている様子が目に浮かぶよう!
ラストにはプラリネとパチョリがこっくりと甘い香りが広がります。パーティで運命のパートナーと出会い、一晩の素敵な夜を感じさせるのです。
ゴージャスなボトルは飾っておくだけでも素敵。プレゼント用として購入するのもおすすめです。
⑤L'Ombre dans l'Eau Eau de Toilette(オードトワレ ロンブル ダン ロー)/DIPTYQUE(ディプティック)
〔ノート〕ローズ、プチグレン、カシスのつぼみ
力強いカシスの葉と、プチグレンが暗い森を想像させます。そしてそこにひっそりと咲くローズとその周りに実をつけたカシスが驚くほど美しく目に映るのです。
ローズがメインのフローラルフレグランスではありますが、フローラルのカテゴリーにしっくりと当てはまらないような唯一無二の香りでもあります。
繊細でありながらとても力強い香りなので、エネルギーが必要にもなるフレグランスです。エネルギーが高い日にはしっくりと楽しくエレガントに、疲れた日にはじっとりと心を持っていかれてしまうような魅力を兼ね備えています。
静謐な川を滑り踊るように流れる白鳥と、川の脇に生えたしだれ柳。サマーシエスタのストーリーを描いたロマンチックな一枚の絵も印象的です。
⑥TRÉSOR MIDNIGHT ROSE(トレゾァ ミッドナイトローズ)/LANCOME(ランコム)
〔トップノート〕ローズ、ラズベリー
〔ミドルノート〕ジャスミン、ピンクペッパー、シャクヤク
〔ラストノート〕シダーウッド、ムスク、バニラ
ローズとラズベリーのキュートな二重奏に、ジャスミン、ピンクペッパー、シャクヤクなどのフローラルが大人の女性の雰囲気を感じさせ、ラストにはムスキーバニラが甘さを加えたままドライダウンしていきます。
これぞ小悪魔といった香りで、ドレスアップした日につけたくなるセクシーな印象です。
⑦SAIGA Eau de parfum Singuliere(シンギュラー オーデパルファム サイガ)/Le Couvent des Minimes(クヴォン・デ・ミニム)
〔トップノート〕ブラックカラントアブソリュート
〔ミドルノート〕センチフォリアローズアブソリュート
〔ラストノート〕シダーウッド
暖かな光が差し込む草原地帯。そこに咲き誇るのは満開のローズです。そのすぐそばではフルーティなカシスがふわっと優しく香り立ち、自然の中で息づく生命を感じさせます。
透明感の中にもまったりとしたクリーミーさのあるバラの香りです。調香師はジャン=クロード・エレナ氏が勤めました。
⑧ROUGE TRAFALGAR(ルージュ トラファルガー)/MAISON CHRISTIAN DIOR(メゾン クリスチャン ディオール)
〔ノート〕ストロベリー、ラズベリー、ブラックカラント、バイオレットリーフ、パチョリ、ウッディノート
それらはやがてバイオレットリーフのグリーンや、パチョリ、ウッディノートのウッドな苦みと重なり合い、少女が大人の階段を駆け上がっていく様子が目に浮かぶような香りで締めくくります。
⑨Si Passione(シィ パシオーネ)/GIORGIO ARMANI(ジョルジオ アルマーニ)
〔ノート〕ペアー、ブラックカラント、ローズ
ルージュのように真っ赤なボトルの「シィ パシオーネ」には、4つのコンセプトがあります。
1.自分を肯定する。
2.誰かのために妥協しない。
3.どんな選択も自分自身で。
4.人生の主役は自分。
たった一度きりの人生を謳歌するために、自分を主役として生きる全ての女性に向けて製作された香りです。
立ち上がりは、ペアーとブラックカラントのみずみずしく軽やかなフルーティー。それらを引き継いだまま、フローラルなローズが華やかな雰囲気で広がり、つけているだけでスキップをしたくなるような楽しい香りで締めくくります。
⑩Mûre et Musc(ミュール エ ムスク)/L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム)
〔トップノート〕ブラックベリー、ムスク、バジル
世界で初めてムスクとベリーを掛け合わせたとされるフレグランスで、現在でも根強いファンを残しています。
立ち上がりは軽やかなカシスのようなベリーがフルーティー。次第に柔らかなムスクが重なり、ラストにはオークモスによってパウダリーな雰囲気を纏ってドライダウンしていきます。
ベリーだけではなく粉感のある重めの香りなため、現代的というよりはクラシカルな印象をもつフレグランスです。
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