1.ジュール ドゥ エルメス / HERMÈS

夏夜に輝く光の花

ジューシーな輝かしいシトラスが明るく立ち上がり、そのあとにはジャスミンやオレンジブロッサムの柔らかな甘さがそっと現れます。 香りは次第に肌になじみ、穏やかで内向的な美しさへと。 どこか親密で、けれど軽やかな時間を象徴するような、ナチュラルで明るい余韻を残します。 何気ない夜に、自分をいたわるようにいつでもそばに置いておきたいような香りです。

2.エヌ パフューム クールキャット / Nardis

夕暮れの風に混ざる涼風

ひんやりとしたミントに、ゼラニウムやホワイトムスクが折り重なる、心地よい清涼感。 甘さは控えめ、ゼラニウムの青々しさが光るアロマティックな印象。 アニスの仄かな艶感が、夕焼け空の色彩を思わせる奥行きを与えています。 春から初夏の明るさを思い出させながらも、夏の夜にこそ軽やかに映える、洗練された香りです

3.ヒドゥン オーデパルファム (オンザルーフトップ) / Miller Harris

葉のしずくが肌をなぞるように

最初に感じるのは、水に濡れた葉を撫でたときのような、涼しげで清らかな透明感。 そこに重なるのは、ほんのりパウダリーで柔らかな花の気配。 風が静かに通り過ぎるように、時間とともにウッディノートが穏やかに立ち上がり、ラストには、静かな夜道にふと残る足跡のような、名残の香りがそっと漂います。 暑さの残る夜に、呼吸を深く吸い込みたくなるような香りです。

4.エディット オードパルファン レミニス / EDIT(h)

夜の森の深呼吸

ひと吹きで広がるのは、まっすぐに立ちのぼる樹脂の気配。 サイプレスの青々とした木の香りに、クローブのスパイシーさが静かに重なり合い、どこか赤土や乾いた大地を思わせる、温もりある土のニュアンスが感じられるはず。 夜の森の中、ほんの少し開けた場所に立ち止まり、風が通り抜けていく瞬間のよう。 静けさのなかで、感覚が研ぎ澄まされていくような感覚を覚える一本です。

5.オー ドゥ シトロン ノワール / HERMÈS

月明かりのシトラスの余韻

鮮烈なレモンの輪郭が、ひとときシャープに浮かび上がり、やがてブラックティーとスモーキーなウッドが静かにその余韻を受け継ぎます。 熟成されたシトロンの仄かな苦みと、木目のテクスチャ。 クールで引き締まった表情のなかに、体温のような静かな熱を感じる香りです。 夜が深まるほどに似合う、洗練された一滴。 一日の終わりの静けさに、そっと寄り添います。